選択をあやまった、 真っ先にそう思った。が、遅かった。じゃあ、と銀時が口を開いたとき、その上目遣いの赤い目の玉の中にある不穏な光に気づけばよかった。後悔先に立たず、まさに、まさに。
どうしてきてくれなかったの、と銀時は泣きそうな声で俺を詰っていたはずだ。ついこの間銀時は誕生日で、俺はそれを知っていたのに、二日間の泊まりがけの研修が入ってしまって、どうしても抜けられなかった。最悪だったのは、それを銀時に伝え忘れていたことだ。今日学校で顔を合わせるなり、放課後、ってささやかれた。


「下脱いで、せんせい」
もったいぶって脱いでみせて、 銀時はそう言ってから、ちょっと考えた。「やっぱいいや。パンツも一緒に。そんで、ケツ向けて」
とまどう俺の手を急かすように銀時の手がベルトにかかって、俺は慌てて一歩下がろうとした。が、うまくいかなかった。当然だ。どこにいるのか? トイレだ。しかも、学校の。あんま長時間いたくないにおいがする。
「先生、はやく」
押し殺した銀時の声が俺を焦らせる。余裕がない、のは多分お互い様だった。ついでに言えば、多分銀時は怒っている。何にか。
抵抗を示すようにため息を吐いて、俺はスラックスと下着を一緒におろした。シャツたくし上げて。即座にかかる声に、ちょっとだけ逡巡してから従う。それから後ろを向いた。
ひたり、と臀部にいきなり手を添えられてぞくっとする。出そうになった声を噛んで、肩越しに後ろを振り返ろうとしたらぷちゃってひどい音がした。粘りをこもらせた水音、甘ったるいにおいがする。いつもこうする時に銀時が使うジェルに違いない。ひたひたと尻の間に触れてきた指の腹がその動作を繰り返した後にそこへと潜り込んできて、俺はぎゅっと口に力を入れる。じわじわとそこを開こうとしてくる銀時の指の形を、覚えようとするように尻が食むのが解っていたたまれない。
「ん、っ」
中程まで入ってきた指が俺のよわいところをつついてきて思わず声が漏れそうになった。ついでにバランスを崩して肩をドアにぶつけてしまう。その動作のせいで、銀時の指を強くきゅっと締め付けてしまった。まるで味わうみたい、そう揶揄してくる銀時の声が、楽しそうで苦い。ぐりぐりとかき回してくる動作に涙が出そうになる。甘ったるい熱がそこから背中を這い登ってくるのがいたたまれない、
ぬちゃ、という音をからみつかせて、銀時がやっと指を抜いてくれた。中指が届くいちばん奥のところをぐりぐりとほじられて、もうとっくに俺は息を荒くしていた。
「せんせい」銀時が楽しそうに喉の奥に笑いをこもらせて、言う。「ここいじられんの好きだよね」
そういう銀時の声も熱くなっている。はあはあと俺の耳にぶつかってくる息が熱いし、さっきから太ももに固くなったものがぶつかってきている。もう、するならはやくしてほしい。早く、そう思うがさすがに口には出せない。
指が二本になって戻ってくるころには、俺は口を噛むだけでは声がころせなくなってて、右手で口を押さえるしかなくなっていた。ふ、ァ、ふ、と指の隙間から嗚咽みたいにあえぎまじりの声が漏れていって、自分でも解るくらいはしたなくて、いたたまれなかった。
「ひ、っイ、」
「せんせ、力抜いて」
そのあとどのくらいの間、そこをいじられていたものか解らない。さんざんにいじくられて指の動きと一緒に生まれる音がいやらしすぎて、狭いトイレの個室にこもって聞こえてもはや焦るしかないってくらいになった時、やっと銀時は指でそこをいじめるのをやめて、とっくにがちがちになってたんだろうそれを入れてきた。ぎゅっと締めあげてしまったせいでいつもよりもそれがおっきい気がして、背中がぞくぞくする。あ、あ、 中を擦られるのにあわせて押さえられない声が漏れる。銀時の腰の動きが作るぐじゅぐじゅという音と混じって俺を追い詰めようとするみたいに。
「あっ、あ! あっう」
「こえ、先生」
肉と肉のぶつかる音がする。炎天下の走りすぎた犬みたいな銀時の息が耳元からうなじをなぶっていくのですらぞくぞくする。めっちゃ広がってる、先生のここえろい、ピンク。 俺をなぶる言葉を次々につかわれるたびに、根本までずっぷりとくわえてしまった銀時のそれをきゅん、と自分の尻が味わうように締め付けるのがわかってたまらなかった。開かれた場所をいじくってくる指がいじめられるたびにくちゅ、って音をたてる粘膜をいじってくる。気持ちが良いって訴えるようなその動きもそうだし、震える指にとうとう歯を立ててもかみ殺せない声もそうだ──脚ががくがくと震えて、銀時の汗で湿った手が腰を教えてくれなければ膝を突いてしまいそうだった。きもちがいい、どうしよう、そこをもっといじめてほしい、もっとだめになるぐらい強く、
「あ、──!」
揺さぶられるままに小さく声を漏らしていた俺をおきざりにして、唐突に銀時が俺の中ではじけた。濡れた息が耳をなぶっていく。ごくり、と耳元でのんだ息が変におとこくさくて、まだ俺の中でなかば固いままのそれにつれていってほしい、とねだるように締め付けてしまった。う、と銀時が小さく声をあげる。もっと動いてほしかった、だって俺、まだ、
「ひっ、や、あっ」
もうちょっとなのに、って名残惜しさにひくつくそこをずるずると引きずって、銀時は俺をいじめて、でも気持ちよくしてくれていたそれを抜いてしまう。背中に張り付かれてたのに、離れていってしまわれて思わず膝をついてしまう。尻がもの足りないって言ってるみたいにひくひくとふるえるのが、自分の体なのにぞっとするぐらいはしたないのに、自分じゃどうにもできない。「あ、あ、…ァ」
もしここに銀時もいなくて俺ひとりだったら、もしかしたら自分でそこをいじってしまってたかもって思うぐらい、そこがうずいて切なかった。きゅん、きゅっ、と何かをそこに入れてほしくて、気持ちよくなってしまう
(おれのすきな)
場所をいじめてほしくて、穴の奥のところが切なくなってる。泣かないで、なんていう銀時の声が優しくてやらしいのが、ずるい。もっとぞくぞくしてしまう。
「先生、こっちの口でも俺のこと食べてよ」
あからさまな口調で銀時は半ば固いままのそれを俺の口に押しつけてきた。俺は荒い息を吐きながら、でも拒絶するなんて考えもしなくて言われるままに口を開いて、さっきまで自分を犯していたそれをくわえる。根本まで舐めて、先だけをくわえて、裏側に舌を添えて吸い上げる。それから喉までずぶずぶとくわえた。上あごを擦られて、背骨の奥に淫猥な熱がこもる。ミス・ジョーンズの背徳だっけ、ディープ・スロート? 口でしゃぶらないといけない女のはなし。銀時は俺に口でさせるのが好きだ。俺も、言わないけど、フェラチオをするのが嫌いじゃない。きっとばれてしまっているのが恥ずかしくてたまらないけど、もうどうしようもない。
頭を上下させてさっき銀時にされてたことをおさらいするみたいに口の中でそれを抜き差しした。みるみるうちに固くなったそれをぎゅっと吸い上げて、もうすぐ、って思ったところでずるっと銀時のが出て行ってしまう。あ。
びちゃ、ってだいぶ派手な音がして、今度は精液を頭からぶっかけられた。下半身だけしかあらわにされなかったから、俺はまだめがねをしたままだ。曇ったグラスに白く濁った銀時のが張り付いて、じわじわとしたたり落ちていく。あ。変な声が漏れた。
「先生」
へたりこんだままの俺の顔をぺろりと舐めて、銀時はまだ熱のこもった息でささやいた。「こっち、してみせて、見たい」
そう言ってふるえる俺の手をとり、抵抗のやりかたを忘れたそれを、まだうずいてひくつく脚の間に運ばせた。くちゅ、と自分の指をねだるようにそこがひくついて、今日のうちでいちばん、恥ずかしくてたまらなかった。でも、止まらなかった。



手の内の花を手折る

20121010
学パロの銀さんはなんかノーマル銀さんのナチュラルにドSスイッチというよりもSのスイッチががちっと入れ替わるようなそんなイメージ そして土方せんせいはえろい