二時ちかくなって、カフェテリアは閑散としている。ヒルナンデスがそろそろ終わりそう、土方はカレーうどんをすすっていた。遅めの昼食だ。昼前に始まった会議がえらく長引いて、みんなへとへとになっていた。ホワイトボードに「13:45〜 昼食 ひ」とだけ書き付けて出てきた。急いで食って、戻ったらまた資料作りがある。たばこすいてえな、ため息を吐くとちょっとぬるくなったたれの表面がたわむ。

「あれー、土方」
今めし? なんかついこの間もこういうことあったな、そう思いながら隣に座ってきた銀時をにらむ。こいつ、シチューなのにごはん盛ってきてやがる。食い合わせ。いや、近藤さんもそういえば同じようにしてた、「つか、かけんのかよ!」
「え、かけねーの」
おいしいよシチューライス、そう言いながら銀時はわざわざ小鉢に持ってきていた福神漬けをつまむ。その食い合わせ完全にカレーじゃねえか。そう思いながら、土方はまたちゅるりと麺をすすった。銀時は隣で、どんぶり飯にシチューをすくってはかけ、口に運んで、を繰り返している。その手にあるのは土方と同じように無料でもらえるお茶ではなしに、飲むヨーグルトだ。売店で売ってるやつ。いちご味。食い合わせ。それはねえ。さすがに。
「へー」
土方がもくもくとうどんをすすって早く席を立ってしまおうと食事にはげむことなどいざ知らず、銀時はのんきに、体半分振り返って、テレビなど見ている。あっやべっ、そう言って土方の裾を引く。
「ンだよ」
「え、いやこれさあ」
そう言ってスプーンの先でテレビを指さす。結婚できないって思われている男の条件。あれこれ書いてあるうち、銀時は下から二つめ、と言って指示して、それからわざわざ口に出して読み上げた。「イケメンすぎるとむりっぽいってさあ、これやばくね」
「何が」 土方は冷ややかに言い、ちぎれて短くなったうどんをつまみ上げて、すすった。カレーうどんはいつも汁を飲んでしまうべきか悩む。シャツに飛ばさずにうまく食えた、と満足しているところに、銀時がわざとらしい口調で言った。
「え、だってこれさあ、俺じゃん? やべーどうしよ、結婚できねー男って思われてたら」
「……」
とてつもなくどうでもよくて、土方はトレイの上の紙ナプキンをとり、口をぬぐった。ぐいと水をあおる。それから、言った。
「まあ、世の中物好きが多いからな」
「おめーみたいに?」
「さあな」
戻るから、 わざわざそう言って席を立つのは、あれこれ、あるからだ。いろいろと、──銀時は口の端だけで小さく笑って、「メールする」と言った。そう言った彼の、耳のはしが赤い。



20130225
こないだのバレンタインリーマンとちょっとリンク ついったで話してたねた(^o^)周りはイケメン〜っていうと土方くんを思い浮かべるかんじでひとつ